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STUDENTS NOW! 谷口 和花菜 さん

困窮する子どもを一人でも多く助けたい

初等教育教員養成課程 小学校教育専攻夜間5年コース 3回生
 谷口 和花菜 さん

 谷口和花菜さんは学業のかたわら、大学生が運営する募金運動「あしなが学生募金」の事務局長として、全国の事務局員と協力しながら募金ボランティアの取りまとめや事務組織の運営、困窮する子どもたちの現状を広く伝えて支援を訴える啓発活動などに精力的に取り組んでいます。年間延べ1万人規模のボランティアが参加する全国組織のリーダーになったのは、意外なきっかけからでした。

 「あしなが育英会の奨学生は、街頭募金に必ず参加することになっています。それで1回生の9月にあった説明会に出席したんですが、募金だと思っていたのが実は勘違いで、事務局の説明会だったんです」。そこで先輩学生に誘われて事務局に入り、翌2月には兵庫東ブロックの代表になります。その半年後、関西エリアの代表が任期途中で辞めることになり、ブロック代表を続けたままエリア代表を兼任。さらにそこから、前任の事務局長に頼み込まれ、入局から1年半足らずの2023年2月、全国の学生ボランティアの代表に就任したのです。」

 怒涛のような1年半を振り返るときも、常に明るく笑いの絶えない谷口さんですが、その心の根底には、「困っている子どもを助けたい」というぶれない軸があります。それは自身の育った環境が大きく影響していました。「中学3年生のときに母親を亡くし、高校1年生で父親とも別れて、当時大学生の姉と2人きりでどうやって生活したらいいのかもわからない状態になりました。そのときにたくさんの人に助けてもらったから、私も困っている子がいたら助けたい、力になりたいという思いが常にあります」 

 事務局長にならないかと頼まれたときにも、考えたのは「子どもを助ける」という視点からでした。「半年しかできなかったエリア代表の仕事をもう1年やりたい気持ちもありましたが、全国に行っても、子どもたちを救うためにどうするか考えるという根本の部分は変わらないと思いました。それに、来年もこんな機会が来るとは限らない。それなら今がんばってみようかなと、引き受けることにしました」

 加えて、4月からはこども家庭庁に設置されたこども家庭審議会委員に任じられました。あしなが育英会奨学生の代表として、苦しい生活を送る遺児家庭の当事者の意見を国に伝える役目を担います。「遺児の状況を多くの人に知ってもらって、みんながやりたいことに挑戦できる、明るく生きられる社会になってほしい。そのために一当事者として、『こういう支援が必要なんです』とか『こういうときに遺児は困っています』ということを伝えていきたい」と意気込みます。

 夜間コースに通う谷口さんの日常は、昼間はアルバイトと事務局の活動、夜は授業と多忙です。しかしそんな中でも、事務局のミーティングの合間に仲間とおしゃべりしたり、同じコースの仲の良い友人とお茶やご飯に出かけたりと、大学生らしい時間も楽しんでいます。毎年新作が公開される『名探偵コナン』の映画も楽しみの一つ。さらには小学生の頃に始めた琴をまた弾きたいという意欲もわいてきて、やりたいことは尽きません。

 心に確固たる芯を持ちながらも気負いすぎることなく、軽やかに自分らしく生きるその姿勢が、多くの人を惹きつけ、頼りにされる理由なのかもしれません。


(2023年5月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。

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