ラボ訪問 柏木 賀津子 准教授
英語は世界と直につながるためのツール
第二部 実践学校教育講座
柏木 賀津子 准教授
小学校外国語活動が始まって3年目、しかし、小学校教員をめざす学生も、ベテラン教員も、英語にプレッシャーを感じる人が少なくありません。二部小学校教員養成5年課程では、ICTを使った英語プレゼンやスピーチ、ネィテ?ブとの英語インタビューやティーム?ティーチングに取り組み、経験を伴った「第2言語習得理論(SLA)」を学べるようにしています(learning by doing)。
授業では英語に耳を傾け、ペアやグループで学びあう授業を大切にしています。「これは、“事例学習”と呼ばれ、まさにその英語表現を使いたくなる場面で、言葉を使う学び方になります(Usage-based model)」
同じように、小学校英語で子どもが英語の音声を真似て使う営みは、ことばの鋳型(slot)を「見つける」という認知を与えます。この“事例学習”の蓄積は、「ことばの仕組み(文法)のおもしろさ」を感じさせる可能性を秘めています。
柏木准教授は、奈良市立小学校教員を務めたあと、同市教委で英語科の指導主事となりました。「小中一貫校の英語」を担当し、多くの外国の方と出会い、奈良公園でインタビュー番組を制作しました。1998年から2001年までヨーロッパ?大西洋カナリア諸島に滞在しました。日常はスペイン語、英語はヨーロッパの人との共通のツールでした。
小学校教員にとって英語は世界と直につながるためのツールだといいます。「二部の学生は、昼間に仕事やボランティアなどの経験が豊富で、子どもたちを盛り上げる技術をもっています」
また、学生には、文化の異なる人と『協働』する機会として、『海外教育実習』を設けています。応募した院生や学生と、台湾、オーストリア、スウェーデン、フィンランド、韓国を訪問して授業をしてきました。学生が創る英語授業はユニークで、理科「磁石とモーター」や「紙飛行機の浮力」「表面張力のふしぎ」、ストーリー「じごくのそうべえ」などです。これらはCLIL(内容言語統合学習)という英語学習です。
「2012年に訪問したフィンランドは『学力世界一』で知られていますが、教室は、まるで『家庭』のように温かく、『個』を大切にしていました。『個』と『集団』のバランスが学力の秘密ではないかと学生は日記に綴っていました。フィンランドの先生と教育について語り合ったひとときを、生涯忘れることはないでしょう」
実践研究では年間20以上の小?中学校に出張?講演をします。子どもの発話やリスニング結果などを丹念に観察し統計手法を用いて検証しています。「教師にとっては授業が命、教育現場での経験を生かして学びのネットワークを広げていきます」
(2011年2月取材?2013年3月加筆)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。