必威体育2年度系における研究活性化プロジェクト
必威体育2年度 系における研究活性化プロジェクト
教育研究の活性化のため,必威体育2年度より本学では組織改革を行い,教員組織として系を設置しました。
そこで,改革の有効性を高めるとともに,必威体育感染症への教育的影響の研究を推進するため,系単位または系横断による新たな研究プロジェクトを立ち上げました。
高度教職開発系
プロジェクト名
教員育成指標に基づく小学校の学級経営に関する研修映像コンテンツの開発
―コロナウイルス感染症に対応した学級経営スキルの研修-
プロジェクト構成員
水野治久?梅川康治?佐々木靖?糸井川孝之
プロジェクト概要
本プロジェクトは,ウイズコロナ時代における小学校の通常学級における学級経営力を高めるための研修映像コンテンツを開発し,実際にその研修を行うことを目的とした。しかしながら,必威体育2年はコロナウイルス感染症による休校や分散登校などがあった。未だに学校現場にはコロナウイルス感染症の影響がある。教員のニーズが把握できなければ研修は企画できない。
そこで,必威体育2年度は,教員を対象にウイズコロナ時代における学級経営のニーズについて355名の若手小学校?中学校教員を対象に質問紙調査を実施した。その結果,教師の子ども指導に対するニーズ尺度は<学習活動>,<問題行動>,<家庭環境>の3因子が集約された。教師の子ども指導に対するニーズと,バーンアウト(燃え尽き)尺度の情緒的消耗感の関連を検討した結果,<学習活動>,<問題行動>についてのニーズの高さが,教師自身の情緒的消耗感に影響していた。コロナ禍においても,教室における学習活動,問題行動についての解決スキルを若手教員に提供することが望まれる。
多文化教育系
プロジェクト名
プロジェクト構成員
中山あおい?箱﨑雄子?井上直子?Brown Robert Sanborn?米澤千昌
プロジェクト概要
必威体育2年度は世界中で新型コロナウィルスの感染が拡大し、国際移動が制限されたため、短期の海外研修や交換留学生の派遣が困難になるなか、国内にいながらコミュニケーション能力の向上や多様な他者と豊かに共生できる能力を育成する教育が重要な課題になった。こうした課題に応えるため、本プロジェクトでは多文化教育系で国際教育を担ってきたプロジェクトメンバーが協働し、コロナ禍で重要さを増している国際教育の可能性を探り、どのような教育実践が効果的なのか検討するための共同研究を行った。
まず、コロナ禍で人の移動が制約されるなか、どのような実践や活動が行われているのか、国内外の取り組みを調査した。アメリカでは、コロナ禍でオンライン授業を余儀なくされ、高等教育の価値が問われるなか、留学生数が前年度より減少している実態が明らかになった。国内では三重大学の訪問調査を始め、他大学の実践を調査し、越境しないバーチャル留学や学生交流など多様な国際交流が試みられていることがわかった。コロナ禍において各大学で模索されたオンライン交流は、国際交流の新たな形を見出す契機として捉えられる。
次に、コロナ禍が日本語学習者に与える影響についてアンケート調査を実施した。対面による学習が制限される日本語学習者も、オンライン交流により、異なる意見を持つ人と交流できることに利点を見出していることが判明した。また、本学の協定校リヨン第三大学の学生と本学の学生のオンライン交流会を2021年3月14日に実施した。参加者へのアンケート調査における満足度は高く、相互の言語や文化、交流への関心がさらに高まる結果となった。同時に参加者どうしが直接交流する方法を模索する必要性が明らかになった。
この他にも、本学の学生が参加したオンライン交流についてアンケート調査を実施し、同様の結果を得た。交流を通して興味が深まったことについての質問には、相手の国の「言語」という回答が約68%、「文化」が約58%であった。最も関心が高まったのは「人との交流」で、約89%の学生が回答しており、オンライン交流に期待できる重要な効果と考えられる。さらに、アンケート調査の結果を基に、異文化間コンピテンスの観点からオンラインの国際交流の効果について検証した。
これらの調査研究の成果は、本学紀要において公表する予定である。
理数情報教育系
プロジェクト名
STEAM教育推進に向けた教養基礎科目「課題探究型STEAM教育」の新設
―必威体育対応の授業設計―
プロジェクト構成員
石川聡子?向井大喜?上出吉則?吉岡利浩?渡邉美香(表現活動教育系)?江藤亮(表現活動教育系)
プロジェクト概要
?STEAMを,座学で学ぶアプローチではなく,科学的?技術的な問題解決(探究)を実際に体験できる活動を行い,その経験を学習者が省察し,整理?理論化する授業設計を行った。(向井)
Googleが提供している学習支援システム「Google Classroom」を用い, ICTを用いた活動経験の省察を促進し,課題探究の経験を顕在化?可視化できるようにした。
?Scratchを用いた創作算数?数学教材を用いてSTEAM教育を体験できる授業設計を行った。
?講義では,Mathematics(数学),Technology(プログラミング),Art/Arts(美術?教養)の視点が反映されるように工夫を加えた。また,データ入力にChromebookの活用を予定している。
?「つくってあそんで学ぶSTEAM教育の実践」として「NINTENDO LABO VR Kit」(任天堂)を活用したグループワーク(1グループ6名x5グループ)を実施。活動時に於ける感染対策として、会話を抑制しつつ積極的な意見交換ができるよう、活動中に各自のスマートフォンやノートPCから「Jamboard」(Google)にアクセスし、各自の気付き、学びが共有できる方法を採用する。また、グループ内での役割分担に「除菌担当」を設定、タイムキーパーの指示により活動中も定期的に除菌作業を行う。
?ものづくり,今回のテーマは「ロボコン」。チームでのロボコンの取り組みは,協働での技術開発の模擬体験である。ロボコンでは,限られた条件の中で,各教科での学びを活用し,試行錯誤を繰り返し,最適解を求めて課題を解決していく活動により,新しい価値を生み出す力が養われる。さらに,設計から製作,評価のプロセスを体験することは,社会生活において物事を企画?立案?実行するという力を身につけることにつながる。
?オンデマンド型授業において科学や美術、ものづくり、ICT活用を取り入れたSTEAMアクティビティとして、ピタゴラスイッチのピタゴラ装置づくりのメニューを用意した。家庭にある身近な材料を用いて、球など物体の連続的な動きを作り、動画撮影をしてLMS等にアップし、学習者間で動画を共有する。自由落下や摩擦、慣性の法則などの科学の知識の活用、色彩を取り入れた装置づくりなど美術の要素、ものづくりの企画、改善や修正などをエンジニアリング?デザイン?プロセスを取り入れて運営する学修をおこなうことが可能である。
健康安全教育系
プロジェクト名
大阪府下の中?高等学校における調理実習の課題とSociety5.0を踏まえたオンライン教材の構築
プロジェクト構成員
井奥加奈?西川章江?中田忍
プロジェクト概要
小学校では栄養教諭を中心とした食育の推進が行われているが、中学?高校ではまだ食育は十分に行われていない。その背景には食に関する授業の少なさや食事に対する意識の相違があると考えられる。とりわけ調理はインターネット上に多くの情報があり、家庭科での調理実習の意義が見失われがちなのではないかと考えた。さらに、緊急事態宣言による在宅時間の増加が家庭での内食に及ぼす影響についても興味が持たれた。
そこで、京阪神の中学?高校の子どもを持つ保護者に対し、緊急事態宣言前後の食事作りの実態調査と調理関連情報の活用実態を調査し、緊急事態宣言前後における食事作りの変化を明らかにした。調査の結果、保護者の就労形態にも影響をうけたと考えられるが、食生活に変化があった者の割合は約半数であった。食生活における変化のひとつは、カップ麺や冷凍食品などすぐに食べられる食品の購入頻度の増加であった。普段在宅しない者が在宅することによって、家庭での食事回数が増えたことは予測できたが、手作りの食事が増えたわけではなかったことが推察された。中高生の子どもがいる家庭には現在さらに解析を進めている。
また、本研究の成果を中学?高校の食育に還元するために、現職の意見も欠かせない。高校における食育は小学校や中学校の次に位置する食育であり、家庭と連携しながら健全な食生活を営むための知識?スキルを定着させる時期である。栄養教諭不在のなかで家庭科教諭の果たすべき役割は大きいと考えるので、高校教員を支援できるようなプログラムや教材開発を行いたい。
表現活動教育系
プロジェクト名
「フレンドシッププロジェクト」~会えなくてもつながる地域と大学~
プロジェクト構成員
谷村さくら?北川純子?太田順康?加藤可奈衛
プロジェクト概要
「フレンドシップ事業」は地域連携活動を基盤とし、①地域の文化活動への参加スタイルを、参加する行為を通して学ぶ、②地域の子どもたち、また市民と交流する、ことを目標に18年間継続されてきた。必威体育2年度、コロナ禍により、交流する、特に子どもたちと触れ合う機会を持つことができない中、「表現教育」と「コミュニティーとアート」の授業において、直接会えなくても、子どもたち、地域の方々と思い共有し、そこから学生が学びを得る、新しい地域連携活動の形を模索した。
1、「表現教育」にて、オンラインイベント『こどもフェスタ』を実施。
学生は4つの班にわかれ、その中で子どもたちに向けた遊びの動画を制作。オンラインの強みを生かし、対面できなくても子どもたちに楽しい時間を提供できることを念頭に活動した。制作した動画は神霜祭にて発信すると同時に、学生有志が制作したホームページで公開した。附属幼稚園、小学校、特別支援学校と連携し、動画視聴とアンケートに協力を頂いた。アンケート結果は学生にフィードバック、オンラインでの活動における必要な配慮、改善点などを全員で共有した。
2、「コミュニティとアート」にて
?柏原市内に新たに開店する店舗のシャッターアートを制作。
美術教育コースの学生が大学で学んだことを活かし、シャッターに描くことで、地域の人と触れ合う社会体験や景観まちづくりというソフト面での地域貢献を目的とした。
?柏原市河内国分駅前の空き店舗に、学生の作品や装飾を展示。
シャッターアートをきっかけに、大阪府の「商店街等エリア魅力向上モデル事業」のうちのひとつ「国分DEマルシェ」実行委員会と連携、学生有志が取り組んだ。
活動後、授業全体を通してとアンケートの結果、地域の方からの反応や言葉等により、受講生たちが何を感じ学んだか、授業振り返りレポートを分析することで明確にした。全体として、参加して良かった、喜んでもらえて嬉しかったなど、多くの学生たちに達成感が見られたが、「表現教育」では子ども理解について、動画制作における技術的な問題が多く、今後はそれらを課題としてさらに活動を継続、発展させていきたい。