企業編
石橋 希珠(いしばし のぞみ) 教養学科人間科学専攻 内定先:東京税関
中村 瑶子(なかむら ようこ) 教養学科健康生活科学専攻 内定先:サントリーホールディングス株式会社
三尾 剛(みお たけし) 教養学科自然研究専攻 内定先:株式会社セブン‐イレブン?ジャパン
就職活動を振り返って
三尾 総じて楽しかったです。いろんな企業の説明会に行って、自分が知らなかった仕事を知り、話を聞くことができたので、良かったと思います。
石橋 楽しかったというのも確かにありますが、やっぱり大変でした。3回生の4月から公務員試験の予備校に入って、1年ちょっと通いました。就職活動(以下、就活)全体が長く、特に前半は辛かったですね。
中村 私は、辛かったのが9割です。プレッシャーを強く感じ、選考に落ちると「私はやっぱり駄目なんだ」と思いました。でも、家族をはじめたくさんの人が「あなたにはいい所がいっぱいあるから頑張れ」と励ましてくれて、周囲への感謝が生まれました。
面接のこと
三尾 みなさん、圧迫面接はありましたか?私は1度あったのですが。
石橋 私も1度ありました。3人の面接官のうち、1人がすごく不愛想。ずっと腕を組んで、無表情で下を向いていました。面接の終盤になってやっと顔を上げたかと思うと、同じようなことを何度も言葉を変えて聞いてくる。あたる人はあたると噂で聞いていたので、これがそうなのかと思いました。
中村 結構冷静ですね。私はなかったです。
三尾 私の場合は、小さな企業の面接で、いきなり社長がでてきました。何を言っても、「あーそうなんだ」と返される。大学でやっていることを聞かれて説明したら、「それってなんか意味あるんですか」と言われました。こっちも弱気になっていたのもあったかもしれませんが、正直、受かってもここでは働きたくないと思いました。
就活生の懐事情
中村 公務員試験ってどういう流れで進むのですか?
石橋 まずは筆記試験を通らないと、面接に進めません。1つの機関で2、3回面接があります。面接と説明会を合わせて、20機関ぐらい行きました。全部東京で受けたので、夜行バスで行ったり来たり。交通費は全部自腹なので大変でした。
中村 就活はお金がかかるし、時間もないし大変ですよね。それでも私はお金のためだけでなく、気分転換にもなるので、週2日ぐらいのペースでアルバイトをしていました。
三尾 私も週2日、大学の図書館でアルバイトをして、他はほとんど就活にあてていました。生活が厳しくなるので、休むことはしなかったです。仕事は17時からなので、15時くらいまで説明会や面接を入れ、その足で大学に来ていました。
石橋 私は両立できないと思ったので、3回生の12月から10ヶ月ほど休みをもらいました。就活を終えてからまた復帰しました。
就活中の相談相手
中村 私は親に愚痴を聞いてもらっていました。「私を落とすなんて!」と文句を言ったら、「縁だから仕方ないよ、受かったところが向いているところ」とよく励ましてくれて、心の中で感謝していました。
石橋 私は予備校の仲間と励まし合いました。公務員にもいろんな仕事があるので、どこがどんな仕事かといった情報共有もできました。まさに同志という感じで、今でも仲が良いです。
三尾 私は大学に来て就活中の友人たちと話していました。愚痴を言うよりは、聞いていることが多かったです。話している時に企業から選考結果のメールが届いて、「見ようや」「いや、今は見たくない」みたいなやり取りもあって、面白かったですね。
就活中の相談相手
中村 お祈りメールとか来ますもんね。
三尾 良い結果の時は、大体電話。基本的に、メールが来たらもうアウトだと思っていたのでメールが来たらしばらく置いていました。
石橋 え?開けずに?
三尾 開けると、そこで落ち込んでしまうので、しばらく置きます。寝る前に、「絶対落ちているよな」と思いながら開けて、やっぱり落ちていたなと。
中村 私は、「こんなの送って来るなんて!」ってお祈りメールはすぐに削除していました。
三尾 私は保護をかけて、全部残しています。
石橋?中村 なんで?
三尾 後から見て、こんな所受けたなと思い出になるので。
石橋 そんな考え方もあるんだ…。公務員はほとんど電話通知でした。その方が嬉しいですけど、ちょっとドキドキします。
キャリア支援センターの活用法
石橋 私は主にエントリーシートの添削と面接の練習です。どこのエントリーシートでも1度は見てもらうようにしました。
三尾 就活を始めたのが遅く不安だったので、まずは今からでも間に合いますかと相談しました。それから、グループディスカッションの練習と就活マナーの講座に行きました。終わったあと突然、時間が余ったから面接の練習をしようということになり、全く準備できていなくてあたふたしました。きちんと対策しなければいけないと思い知らされました。
中村 自己分析、エントリーシートの添削、面接指導といろいろ参加しました。就活ノートを作って、教わったことは全部書いています。面接の手順、自己PRのポイント、面接官が知らなさそうな言葉は説明をいれるなど、具体的なアドバイスをたくさんもらいました。
内定先の企業に決めた理由
三尾 やっぱり大きな企業だからというのはあります。あとは給与や福利厚生も重視していました。
中村 私は、「やってみなはれ」というサントリーの価値観にすごく惹かれました。出会う社員さんはみんな個性的で、ますます面白い会社だと感じました。他の企業は大学時代に頑張ったことをよく聞いてくるので、その度に「私の人生は大学だけじゃないぞ」と思っていました。サントリーは、今までの人生における価値観とか人となりを見てくれて、嬉しかった。あと、土日が休みというのも大事でした。
石橋 休みは重要ですよね。お酒は?
中村 もちろん、大好きなお酒も理由の一つです。でもあまり聞かれなくて、最終面接の一つ前でやっと聞かれました。内定者の中にはお酒が全然飲めない人もいるので、選考でそこはあまり重要ではなかったのかなと思います。
石橋 公務員試験の勉強を始めたら、一口に公務員といっても市役所とかだけでなく、いろんな仕事があることがわかり、楽しくなりました。そこで改めて何を大事にしたいのか見つめなおし、自分は信念と正義感をもって働きたいのだと思いました。そんな中で、違法な輸出入を取り締まったり、適正に税金が申告されているか調べたりする税関の仕事を知って、自分が社会の役に立っていると実感できる仕事だと確信したのが決め手です。
全国転勤も楽しみ!
三尾 私は全国転勤ありですが、どこへ行くとしてもいい経験になると思っています。自分から田舎に行くことはそうないと思うので、田舎に配属されるのもそれはそれで楽しみだし、都会なら遊ぶところがいっぱいあるし。わりと楽観的です。勤務地は東京ですか?
石橋 東京税関という名前ですが、東京以外にも転勤があります。関東甲信越が管轄なので、例えば新潟県なども含まれます。税関というと空港のイメージが強いですが、港にも出張所がありますし、どこに転勤になるかはわかりません。いろんなとこに行ってみたいので、転勤もいいと思っています。
中村 私も全国転勤があって、どこになるかはわかりません。営業職で希望を出していて、東京でバリバリやりたいなと思っています。
三尾 内定を受けますかという確認の電話があった時に、結婚予定の有無を聞かれました。近々結婚を考えているなら、転勤はしにくいだろうからということみたいです。そう言われてしまうと、逆に全国転勤の仕事を選んじゃったら、なかなか身を固められなかったりするのかなと心配になりました。
石橋?中村 今からそこを心配するの?
三尾 ついて来てって言う度胸ないです。申し訳なくて、引越しなんてさせられない。
石橋 家族のことはありますよね。私は地元が和歌山県で、親には寂しい思いをさせて申し訳ない気持ちもあります。県庁も受けていて、地元か東京か、最後まで迷いました。でも、やっぱりやりたいことを優先して、東京に行ってやろうと。
後輩へのアドバイス
中村 1?2回生のうちは、まずは視野を広げることですね。私は例えば先輩の誘いで全然知らないロックバンドのライブに行ったり、美術史の授業を受けて気になった奈良の正倉院展に出かけたりしました。どんな経験もいずれ自分の糧になります。3回生は、自分かどんな人間か、譲れないものは何かなど、自分を構成するものを知ってほしい。就活中は周りがみんな立派に見えて、不安になります。でも自分が駄目と思わないで、選考で落とされたら「こんな立派な人材を落とすなんて!」くらいの強気な姿勢で立ち向かって、自分が自分のことを一番に認めてあげてほしいです。
三尾 1?2回生は、短期でもいいのでアルバイトをして、いろいろな仕事を知るといいと思います。就活はお金がかかるので、貯金しながら視野も広がって一石二鳥です。3回生は、私も自己分析で得手不得手を知っておくことが大切だと思います。ただ落とされた企業に対しては、私は中村さんとは逆で「さすが!」と思っていました。面接で取り繕った受け答えをして落とされると、「見抜かれている。俺がエントリーしただけのことはあるな」と思っていました。
中村 同じことでも、捉え方が全然違いますね。見習わないと。
石橋 私は就活を始める時点で公務員と決めていましたが、1?2回生のうちは、いろいろな企業の説明会やイベントに行ってみるといいと思います。ちょっと足を運ぶだけでも、自分がどんなことに興味を持つのか、見つけやすくなります。それから、公務員をめざす人には、公務員にもいろんな仕事があるということを知ってほしい。ホームページでもSNSでも情報がたくさんあるので、早いうちから幅広く情報収集するのがいいと思います。
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(2018年1月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。